晩秋の北八ヶ岳
     トロッコ軌道を辿って本沢温泉へ

10/20(月)下見ウォ−ク

■八ヶ岳には沢山のトロッコ軌道がありました。林業が盛んだった頃の名残です。山奥から麓へ木材を降ろす手段として敷設されました。特に小海線が断続的に部分開通していった大正の終りごろから昭和10年頃にかけて盛んに作られました。山奥のドバ(木材の集積場・軌道の始発と終点にあります)から小海線主要駅までを結んでいたのです。古い5万分の1の地図を見ると「林用手押軌道」や「林用台車軌道」などとしてその軌道が書き込まれ、往時の活躍ぶり を偲ぶことが出来ます。

トロッコは動力のない自然降下で、木製のブレ−キを操りながら下りてきます。雨の日はブレ−キが効かず、仕事もお休みだったようです。空のトロッコは主として馬が曳き上げていましたが、時には牛や犬まで駆り出されていました。

戦前戦中は軍事物資として、戦後は復興資源として、八ヶ岳からは大量の木材が切り出されていきました。製材所も各地で賑わいを見せていました。

ところが昭和30年代、次第に道路が整備されトラックが普及していきます。時を同じくして薪炭から石油へとエネルギ−革命が起こりました。急速に 木材の需要は薄れ、トロッコは使われなくなって、昭和37年ごろには全ての軌道が廃線となってしまいました。

今回目指したのは昭和27年〜昭和35年の間活躍した 「稲子湯〜みどり池軌道」です。軌道は稲子湯からしらびそ小屋(みどり池)まで続き、さらに中山峠へ向かう軌道と本沢温泉方面へ向かう軌道とに分岐していま した。今日は本沢温泉方面への軌道跡を追ってどこまで行けるか、まさに冒険の旅となりました。


■地図
※コ−スタイム
1)稲子湯スタ−ト9:20
2)しらびそ小屋着10:40
3)しらびそ小屋発11:10
4)本沢温泉着12:30
5)本沢温泉発14:30
6)本沢温泉入口15:50着
※稲子湯から反時計周りに歩き始め、赤い線で示したコ−スを辿りました。約10キロの行程です。

赤い線の切れた終点は「本沢温泉入口」といって、バスや乗用車が何台も駐車できるスペ−スがあります。私達は車2台で行き、はじめにここに1台置いてから稲子湯に向かいました。


稲子湯温泉

今回は出発前のトイレ立ち寄りのみの利用です。

すみません m(__)m

ここは今日立ち寄る「しらびそ小屋」「本沢温泉」とならんで、「泊まってみたい八ヶ岳の山小屋」として常に人気上位の山小屋です。

今日の逆コ−スをとればゆっくり入れます・・。

稲子湯からもう少し車で入り、ゲ−トのところからスタ−トします。

30分ほど の道のりをかせいで、ここからスタ−トすることにしました。

すぐに唐沢橋を渡ります。

山奥にはふさわしくないしっかりした橋ですが、「北八つ」という異次元世界に入り込んでいく、ここが現世との境だと思いながら渡りました。

紅葉がちょうど最盛期のようです。

橋を渡った先はジャリ道の林道となっていますが、コ−スはすぐに右の山の中に入っていくことになります。
で、また林道に出て、またまた右の山の中の道に入り込みます。

こんなふうに林道に出たり入ったりしながら、先を急ぎますが、行き先さえ分かって入れば、迷うことはありません。

こんな看板や、あんな看板が、あちこちに設置されているからです。

歩く人は事前にしっかり地図を頭のなかに叩き込み、途中でなんども地図を開き、看板のある箇所では確認しながら歩きましょう。

「屏風橋」を渡った先で、道はようやく落ち着いた山道となります。

渓流に沿った気分の良い道が続くが、まてよいよいよこの山道がかつてのトロッコ軌道跡なのじゃあないか、という雰囲気がでてまいりました・・・。

ね、いきなり山道にはこんな材木が・・・。

一瞬しいたけのホダ木かと思いましたが、まさかね(~_~;)

埋まってしまったのか、埋めたのか、出てきたのか、並べ替えたのか・・。ともあれ、鉄道の枕木であったことは間違いのない状況に、心が躍ります。

いきなりこれ。鉄路が1本地面から飛び出て虚空に吼えている。

うむうむ、いよいよ出てきたか、という感じ。

なにか言いたいのだな。よしよし、しっかり聞いてあげよう。

ここからはもう、すっかり廃線の道。

←2本まとめて右端に寄せられていたり、

→何故か真ん中に1本だけ残っていたり、

←まだ使えそうな形で残っていたりします。

→お、カ−ブ外側のレ−ルがちゃんと高くなっています。

←倒木のからまる藪の中から飛び出したレ−ルが

→雑草と枯葉に覆われた地面に吸い込まれていく。

いやあ、もう、感無量です。

男達の喚声と掛け声、切り倒される大木の悲鳴、トロッコの軋む音、レ−ルと車輪の音等などが、聞こえてくるようではありませんか。今は静寂な北八つが、かつては活気とエネルギ−に満ちていたのです。

今、山と静寂を愛する老若男女がザックを背負ってこの道を歩いていますが、赤茶けた鉄路を彼らはどう見ているのでしょう・・。

この軌道を最後のトロッコが走ってから40年以上が経っています。あたりはすっかり原生林の様相を呈し、かつてここから大量の材木が切り出されていったとはとても想像できません。

残されたレ−ルは何を語るのだろうかなどと思いつつ歩けば、はやくもこまどり沢の水場。ここでレ−ルは巻き道にまわり(右方向)山道は直登(手前方向)でしらびそ小屋を目指します。

この水場でしっかり休もう。ここから急登が始まります。

巻き道ル−トでS字に走る鉄路を数回越えながら、一気に上り詰めると約20分で小屋に着いた。

小屋にはラッキ−がいた。目が見えないのだそうだ。なんだかひとなつこい。

ここでト−ストセットを食べて一休み。朝食を抜いてきてしまったのです(~_~;)

←ト−ストを食べながら窓からパチリ1枚。

奥の山は東天狗。

池はみどり池です。ほんとうに静寂そのもの。

昔ながらの良き山小屋が景色と溶け込んで、あたりは時間が止まったようです。この山小屋に何泊もしていかれるお客様も多いと伺ったが、それもむべなるかな。

窓辺によりてしばしたたずみ、過ぎし日の山を思ふ。

そんな山男達の姿が目に浮かびます・・。

私たちも小休憩のつもりが30分もゆっくり時間をとってしまった。時間があればもっと居たいところだが、今日はこれで大満足。

レ−ルを追ってまた歩き始めます。

おや、良く見るとしらびそ小屋の敷地内にもレ−ルが・・。

手前に短いのと長いのがありますね。

 

小屋から10分も行かないうちに、分岐があります。本沢温泉は左に行くのですが、廃線軌道を追って、あえて右へ行きます。
資料によると軌道は、みどり池を越えたあたりで、一本は中山峠へ、1本は本沢温泉へと向かっているそうです。

軌道に沿ってあるけば、どこかで分岐に出くわすはずです。

案の定、すぐに分岐がありました。右は中山峠方面へと続くのでしょう。今日は左の軌道を辿って本沢温泉に行くことにします(果たして無事たどり着けるのか・・・)

←さっそく、こんなレ−ルが目に飛び込んできました。ここからはもう登山道ではないため、レ−ルと土と木と草の関係はもうめちゃくちゃです。荒れ放題といってしかるべき箇所もあれば、何故かきれいなスペ−スが広がっている箇所もアリと、だんだん冒険ム−ドになってまいりました。

これ、分かりますか?

よ〜く目を凝らしてご覧下さい。地面の上を2本の緑色の線が走っています。2本のレ−ルの鉄錆びの上にコケが生えたものと思われます。

これもよ〜く目を凝らしてご覧下さい。

手前右下から奥上に斜めに続く土手のようなもの。ここに軌道があったのです。

レ−ル敷設にはどんな苦労があったことやら・・、ともの思いにふけりつつ歩くMさん。今日の下見同行していただきました。

お〜っと、もの思いになどふけっていられない。道はいよいよ不明となっていきます。踏跡もない藪の中です。

ところどころレ−ルが顔を出しているのを見つけ、それに添って歩きます。万一この道を引き返さなければならなくなった時も、レ−ルを反対に辿ってくれば、元の場所に帰れるので安心です。

木々をかき分け、枝をかき分け、道なき道をズンズン進みます

ものすごい倒木。コケが絨毯のようです。

森林は盛んに倒木更新を繰り返していました。

あちこちで自然倒木を見た。そのどれもに、枯れて倒れたのではないような生命力を感じた。

一体木はどのようなとき倒れるのだろうか。

行く手は倒木に遮られた崖です。

軌道が廃線になった後、がけ崩れがあったようです。そこだけレ−ルはひしゃげ、土や岩に絡まれ、ズリ落ちていたりします。

もうだめか、これ以上進めないか・・。というような箇所を何度も越えて、なをズンズン歩いていくと・・・、

カラマツの落ち葉にレ−ルが見え隠れしている箇所に出てきました。やっぱり道が平らであるということはいいことです(~_~;)

ほっとしつつのんびり歩いていると、おや、まてよ・・。

すぐ上を正規の山道が通っているような気がしました。

おや、これは計算どおりいったのかな。

遠くの林の中に、赤いリボンが結ばれているのに気がついたのです。あれは「山道はこっちですよ」の合図だ(^_^)v

赤丸印の遠くにそれは見えたのです。

←これです。ちょっと倍率は悪いですが。

みえましたね、やったのです、私達は幻のトロッコ軌道を追いかけて、なんとか本沢温泉への山道と合流することが出来ました。

しらびそ小屋を出てから約45分の戦いでした。

そこから約40分。途中の本道と本道の合流地点を経て、本沢温泉に無事到着いたしました。正規の登山道を歩くのとほとんど大差ありませんでした。

なを、軌道は上の合流地点のところで大きく半円形を描いて土の中に消えて行きました。おそらくそこがドバであろうと思います。

硫黄の爆裂口が眼前にせまる本沢温泉です。

ここまでくればもう目的の半ばは達成です。

あとはのんびり過ごしましょう。まだ12:30でした。

軒下の壁板一面に書き連ねられたメニュ−をとくとご覧あれ、生ビ−ルセット1150円。にごり酒600円、岩魚唐揚730円、もうたまりまへんな。私たちも当然○○で乾杯をしたのでした。
小屋から8分ほど上ったところに、通年営業としては日本一高いところにある野天風呂があります。本日は若者5〜6人が入っていたため遠慮して、内風呂を使わせていただきました。
ちょっとアングルが悪いかな・・。

内風呂です。男女別にわかれています。

なかなか良い雰囲気ですよ。風呂まで行く廊下がまた、なんともいえません。山小屋っていいですね〜。

ちなみに内風呂入浴料730円。野天風呂は520円です。

失礼して野天風呂を撮らせて頂きました。

どうです、野趣あふれる光景。

硫黄の匂いがします。

野天風呂からの眺めです。

もうなにもいりません・・・。

まさに日本一の秘湯でした。

なんとここで2時間ものんびりと時間を過ごしてしまいました。下見であることをすっかり忘れて、本沢温泉の秋をたっぷりと堪能させていただきました。秋と温泉とトロッコ軌道。大変素晴らしいウォ−キングとなりました。本番も大勢の方と一緒に楽しみたいと思います。是非皆様、お越し下さい。
帰路はこのようなきれいな光景を眺めながら、延々と下ります。

▲スペシャルサンクス:梟マム様。下見に付き合っていただきましてありがとうございました。探検のような下見でしたが、おかげさまで楽しく目的を達することが出来ました。
▲参考資料:だたら八つ。この冊子にはいつもお世話になっております。いつも楽しく的確な情報は「八ヶ岳のおもしろウォ−キング」に欠かせません。これからも良い冊子作りを期待しております。

本番の報告はこちらです。

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